IT業界の底辺で、日夜我慢をしながら働き続けるIT土方たち。
周りから見ると、「今すぐ辞めればいいのに」と思うことでしょう。
しかし、IT土方たちには簡単には辞められない理由があるものです。
元IT土方の女性エンジニアが、自身の体験談に基づき、IT土方からなかなか抜け出せない理由3つを解説していきます。
1.IT土方は自己肯定感がものすごく低くなっている
自己肯定感とは、自分のあり方を積極的に評価できる感情、自らの価値や存在意義を肯定できる感情などを意味する言葉です。
(出典:実用日本語表現辞典)
IT土方は劣悪な労働環境において、上の人間の指示に従って働いています。
クライアントのどんなに理不尽な要求でも、基本的には従うしかありません。
期待通りの仕事が出来なければ、契約を切られてしまうリスクを常に抱えています。
IT土方は非常に弱く不安定な立場に立たされているのです。
そして次第に、「自分は底辺の人間である」と思い込むようになってしまうのです。
- 自分は底辺のIT土方だから、今の仕事を失ったら新しい仕事は見つからないかもしれない
- こんなに底辺の会社に勤める人間を雇ってくれる会社など見つかりっこない
- 底辺のIT土方が転職して年収アップなんてありえない
- 自分より優秀な代わりの人間は山程いるのだから、今の仕事を死守しなければならない
実際は、たまたま入社した会社がIT業界のピラミッドの下層だっただけで、本人の問題ではない場合が多いです。
私よりはるかに仕事が出来ないエンジニアが、私より上位の会社で給料をたくさんもらっていたという実例もあります。
会社選びは運ですので、自分を卑下する必要は全く無いのです。
しかし、IT土方はすっかり自己肯定感が低くなってしまっていて、物事をネガティブに捉えてしまいがちです。
私の場合、IT土方を抜け出してようやく、自己肯定感を取り戻せました。
2.IT土方は転職を考える暇がない
IT土方はプロジェクトが忙しくなってくるにつれて、仕事を辞めたくなってきます。
しかし現実問題、自分が抜けたらチームのメンバーに多大な迷惑がかかりますので、プロジェクトが忙しくなるタイミングで辞めることは難しいです。
また、朝から終電まで仕事をする日が続くと、転職について考える余裕すら無くなってきます。
ひたすらシステムを納期までに完成させることを考えるのみです。
そして、プロジェクトが落ち着いてくると、忙しい時期とは打って変わって一気に仕事が楽になります。
あれほど仕事を辞めたいと思っていたはずなのに、定時帰りの日々に幸せを感じて満足してしまいます。
しかし、そんな日々がずっと続くはずはなく、また新たなプロジェクトが忙しくなってくるにつれて、仕事を辞めたい気持ちが復活します。
同じ過ちを繰り返すことなく、余裕のある時期にどれだけ行動するかが、IT土方を抜け出す鍵になってきます。
3.IT土方の勤める会社はブラック企業であることが多い
IT土方の勤める会社は、社員一人一人の幸福よりも自社の利益を優先する、ブラック企業であることが多いです。
社員が辞めることで自社の利益も減ってしまっては困るので、退職しようとすると必死に引き止められることがよくあります。
とか、
とかいった噂を耳にするたび、辞めることに消極的になってしまいます。
ブラック企業は辞めるまでのハードルがとても高いのです。
辞めること=悪、といった風潮があるので厄介です。
かつて私が勤めていた会社では、新しく入った社員の歓迎会は行っていましたが、送別会はありませんでした。
最近あの人見ないような?と思っていたら、実は数ヶ月前に辞めていたということは日常茶飯事でした。
送別会はまだしも、辞める人・辞めた人の情報が全く伝わってこない会社の体制には、闇を感じていました。
まとめ:IT土方を抜け出すには強い覚悟が必要
IT土方には、実際にその立場になってみることでようやく実感できる、簡単に抜け出せない理由がそろっています。
抜け出すためには、自分の弱い心や会社の引き止めに負けないような、強い覚悟が必要となります。
覚悟が決まらず、我慢を続けてしまうIT土方はきっと多いことでしょう。
しかし、何年も我慢を続けるようでは、人生における貴重な時間が非常にもったいないです。
私は、覚悟を決めるまでにそれこそ何年もかかってしまいましたが、IT土方を抜け出せて本当に良かったと感じています。